◆◇◆Save Our Souls 我らが魂を救え!◆◇◆


<<キス★キス★バン★バン>>
〜KISS KISS BANG BANG〜 

キス★キス★バン★バン

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この映画のチラシを最初に見た時、こう思いました。
これは、大当たりか、大ハズレのどちらかに違いないと。
だって主演が、『奇跡の海』『ダンサー・イン・ザ・ダーク』に出演した、
渋い俳優、ステラン・スカルスガルドに、
『レザボアドッグス』『ショート・カッツ』などで、クセのある男を演じた、クリス・ペン
しかも、彼らが演じるのは、スカルスガルドが落ち目の殺し屋で、
ペンが33歳の箱入り息子だとぉ???
でもってタイトルが、「キス★キス★バン★バン」ときた。

ダークな香りはするけれど、シリアスではなさそうだし、完全なコメディとも思えない。
ううむ、これはとにかくチェックをしなくっちゃと出かけたら、 これが大当たり!
ドンパチは激しいものの、意外に(?)スマートで粋。
殺し屋がいつも携帯している「臨終名言集」とか、 殺し屋集団の巣窟にかかる、
ラテン語のモットーなど、人をくった小物があるかと思えば、
部屋のインテリアのモダンでシックな雰囲気は、女心をくすぐるし、
キリンの折り紙や、マッチ箱の使われ方も、ちょっと小粋。
音楽もいいし、全体に上質な遊び心満載で、細部まで楽しめるつくりです。

主人公のフィリックスは、かつては殺し屋ナンバー・ワンだったのに、
50歳を目前に、ガクガクっと腕が落ちてきたのを自覚して、
若い弟子、ジミー(注目俳優!ポール・ベタニー。唯一のハンサム・ガイ!)に、
すべてを託し、引退を決意します。
でも、自分勝手に引退するなど、許されるはずもなく、
ボスは、フィリックスを殺せと、ジミーに命じるのです。
さて、実はフィリックス、尊厳ある死を望む父親を、
高級老人ホームに入居させているのですが、 そこの家賃を滞納しているので、
何か仕事をしなければなりません。
しかも、自分の彼女は、妊娠してしまった!
一方、密輸業者から依頼された仕事が、その男の愛する息子ババのお守りでした。
ババは、ずんぐりむっくり、オヤジ体型の33歳。
父に溺愛された彼は、一歩も外を出たことがない、 完全なる箱入り息子で、
水鉄砲とキリンのぬいぐるみを片時も放さない、純粋な赤ちゃん。
そんな足手まといを連れて、殺し屋軍団から、逃げ回らなければならないなんて!
あぁ、男フィリックス、人生最大のどんずまり。

対極の暮らしをしてきた二人が、ひょんなことから出会い、
初めは冗談のようなつき合いが、だんだん義理と情がわいてきて、
ついには、互いに離れられない関係になるという、
ありがちなストーリー展開ではあるものの、いいんだなぁこれが。
シャイでナイーブな男の子たちの心の距離感が、とっても上手く描かれていて、
彼らの古風な純情に、胸がキューンと切なくなるのです。

殺し屋のフィリックスは、いい年した中年男のくせに、 父親の死を受け入れられず、
かと言って、「ダディ、逝かないで!」なんて、間違っても口にできません。
一方、おちゃめな父もまた、息子を小さい子供の時と同じように、
やさしい気持で見守っているけれど、決して多くは語りません。
殺し屋フィリックスを尊敬し、憧れてもいるジミーも、
その胸の内を明かさず、陰からフィリックスとババを見守り、助けていきます。
映画『カサブランカ』に通じる男の美学が、 現代にも生き残っているのですねぇ。

そんな中、唯一ストレートに自分の気持ちを伝えてくるのは、 もちろん、ババ。
雨を初めて見れば、恍惚とした表情でズブ濡れになり、雨をなめ、
マッチ箱に、そっと雨をしまいこみます。
そして、男としての生き方をフィリックスから学ぶうちに、彼を慕い、
フィリックスもまた、無垢なババと接するうちに、
遠い昔に置き去りにしてきた感情を思い出し、 まるで父親のように、
ババを一人前の男にしていくのです。
無骨な男と、夢見る男の子が、そっと寄り添っていく姿は、本当にほほえましくて、
男の子同士の絆を、大切にマッチ箱にしまっておきたくなるほど。

でも、どんな出会いにも、別れはつきもの。
この先は、映画館で見ていただくとして、
最後に、殺し屋フィリックスの男の条件を、参考までに上げておきましょう。

音楽は、バリー・ホワイト(ぷぷぷ)。コーヒーはコロンビア産。
男の子は、ダンスが上手でないといけない。
ウィスキーは、一息に飲み干せ。
ダイエット料理など、絶対に口にするな。
煙草も粋にたしなむべし。
読書も大事だ。特に、詩はいい。
女が危険な存在であることを忘れちゃいけないが、
愛する女性は大切にすること。でもセックスは、激しく!(?)
そして男の子は、泣かないで、前に進むんだ。

                                               2003.1.8.

                                        −writing by 吉田 妃呂−

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