◆◇◆Save Our Souls 我らが魂を救え!◆◇◆


<<ラッキー・ブレイク>>
〜Lucky Break〜 

歌って踊って逃げろ!

↑オフィシャル・サイトは、ここをクリック!

東京都内は、渋谷シネ・アミューズ、イースト/ウエストと、銀座シャンテ・シネで、公開中!
その他の地域は、オフィシャル・サイトをチェック!

「この場所の外に、別のすばらしい世界が待っている」、
あなたも、そういう感覚におそわれたことってあるでしょう?
俗に、逃避思考って言われてるけど、
特に、刑務所の窓越しに、虹なんて眺めちゃったりしたら、
もう心の底から真剣に、脱獄を計画しちゃうかもしれません。

今回の映画『ラッキー・ブレイク』は、
失業中の男たちが再起をかけて、裸になった『フル・モンティ』の監督、
ピーター・カッタネオの5年ぶりの作品です。
前回が、奇抜なアイディアで笑わせてくれたのに対し、今回は、
チャーミングな脱獄劇でありながら、ラブ・ストーリーでもあり、
友情あり、ミュージカルありと、いろんな要素がぎゅっとつまったコメディーです。
しかも、ハンサム男が一人も出てこない、というのも、この映画のうり!(?)

主人公ジミーを演じるのは、ジェームズ・ネズビッド。
ゲジゲジ眉毛に、愛嬌のあるドングリまなこ。
パーツそのものに問題はないけれど、配置が妙にズレていて、
全体に間延びした感じに味わいがあって、飽きさせません。
イギリスを代表するヤサ男、ヒュー・グラントを馬面にして、
いかにも田舎者です、って感じ、と言ったら伝わるかしら?(何て失礼な!)

とにかく、ジミーは、アイルランド出身。
自称、華麗なる大泥棒らしいけれど、なまり丸出しの、ただのコソ泥で、
人生のほとんどの履歴を、刑期で埋めている冴えない男。
ここで一発、人生の大逆転をはかろうと、身の程も知らず、
銀行強盗などという、壮大な野望を計画し、
一人じゃ心細いので、これまたマヌケな幼友達、ルディを誘ったのだけれど、
案の定、銃がこわれるは、ルディは銀行内に閉じこめられるはで、御用となります。
到着したのは、人生の最北端、ロングフォード刑務所。
「メ〜」という、羊の鳴き声に脱力しつつ、ポンと場面展開して、
ご機嫌な音楽が挿入される当たり、最初からお尻がムズムズするようなおかしさで、
グッ、と笑いのツボを押さえてくれます。

さて、このジミー。
頭は悪いけれど、気がよく、義侠心もあり、反抗心も一人前なので、
刑務所に到着したその日から、揉め事を起こし、懲罰房の常連さんとなります。
さすがにウンザリして、よせばいいのに考えついたのが、「脱獄」。
イギリス一の警備を誇る刑務所だけど、唯一警備の甘いところがあって、
それは、古い教会。
ミュージカル大好きで、『南太平洋』をいつも口ずさんでいるモーティマー所長が、
(「サウンド・オブ・ミュージック」の大佐、クリストファー・プラマーです!)
自ら創作したミュージカル『ネルソン提督』を、
囚人の更正プログラムとして、教会で演じさせようとするのを利用して、
「歌って、踊って、逃げろ!」作戦を、仲間と計画するのです。

ところが、嫌がらせばかりするイヤな看守ペリーは、邪魔してくるし、(当然だ)
腕っぷしの強い囚人は、脱獄計画を乗っ取ろうとするし、
ジミー自身も、「怒りを共に語る会」の更正カウンセラー、アナベルに、
一目惚れしちゃうし。(えっ?)
アナベルは結婚に失敗して、現実逃避でこんなところで働いてるのに、
うっかりジミーという男を信用して、好きになっちゃうし。(えぇっ?)

とにかく、こんな奴らを舞台に出して、ミュージカル公演は成功するのか?
舞台はいいとして(?)、脱獄は本当に成功するのか?
(失敗したら、刑期は最低10年延長されるんだぞっ!)
はたまた、ジミーは牢獄にとどまり、恋というスィートな牢獄を選ぶのか?
とうとう、その日がやってきた!

22歳の放火魔ダレン、中年紳士風の詐欺師ロジャー(ビル・ナイ)、
気の弱い中年男にティモシー・スポール、などなど、一癖も二癖もある野郎たちが、
一生懸命ミュージカルを演じる姿も、楽しませてくれるけど、
脱獄というハラハラドキドキのシチュエーションに、 家族の問題や、
それぞれの絶望、逃避思考、愛、そして友情と裏切り、その和解など、
何重にもエピソードが折り込まれていて、
全体的にさらっとした描き方ではあるけれど、なかなか味わい深く、
大人味の、粋なハーフビター・コメディなのです。

ラスト近く、トマト栽培を最高の喜びとしている囚人仲間が、
ジミーとアナベルに言う場面があります。
「トマトをイタリア語で、何と言うか知ってるか?
 ポモドーロ、愛のりんごって言うんだ。」

このトマト、逃避しないでそばにいて、ちゃんと育てていれば、
それなりに、おいしく実るものなんでしょうね。

〜最後にクレジットが流れても、すぐに席を立たないでね!〜

                                        −writing by 吉田 妃呂−

戻る




[HOME]
MAIL ←吉田妃呂への
メールはこちらへ!