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<<モンスーン・ウェディング>>
〜Monsoon Wedding〜 

デュベイのプロポーズ

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2001年ヴェネチア国際映画祭で、 インド人女性監督初の金獅子賞に輝いた、
ミラ・ナイ―ル監督による、マリーゴールド色に彩られた、人生賛歌の映画です。

舞台は、インドのデリー。
登場するのは、中流より上のクラスに属する、バルマ一族。
その家長である、実業家ラリット父さんの長女、アディティの結婚式を 4日後に控え、
バルマ一族が、世界中から集まってくるところから、物語は始まります。
さすがグローバル化の現代インド。
アメリカから婿さん家族が、 オーストラリアからも親戚が、わらわらやってきます。

このビッグ・イベントを前に、ダリット父さんの願うことは、二つだけ。
伝統的で立派な結婚式を用意して、大事な娘を、新しい人生へと送り出すこと。
そして、久しぶりに会う一族の、固い結束を確認すること。
そのために、父さんは一日中、式やお客様の接待で駆け回り、
イライラし、怒ってばかり。
しかも、借金までして盛大な結婚式を挙げた後、
一人娘は、遠いアメリカにあっさり渡ってしまうのです。
どこの国でも同じ、花嫁の父の胸中は、複雑な思いでいっぱいです。

伝統的な音楽や踊り、鮮やかな色のサリー、
結婚式のデコレーションとして、ふんだんに使われる
マリーゴールドの黄色、黄色、黄色!
ゴージャスな色彩の氾濫と、おめでたい雰囲気の中で、
娘の結婚を中心に、一族の複雑な人間模様が、 様々な愛の物語となって、
展開されていきます。

テレビ局で働いていた長女アディティは、実は不倫の恋に悩んだ末、
両親のすすめる見合いで、この結婚を決めたのでした。
そんな若くて、不安定なお嬢さんの結婚感、 ラリット父さん夫婦の歳月をかけた愛、
この結婚式で出会う、現代的でアメリカナイズされた若者の恋、
そして、誰にも気づかれなかった倒錯の愛を通して、
親と子の絆や、モラル、愛と憎しみなど、普遍的なテーマと共に、
現代のインド社会が抱える問題も、透けてみえてきます。

そしてもう一つ、サイド・ストーリーとして配置されているにもかかわらず、
この映画の最高のエッセンスとなっているのが、
ウェディング・プランナー、デュベイの恋です。
彼は、カーストは低いけれど、なかなかのやり手で、
携帯片手に、3人の職人を率いて、抜け目なく稼いでいます。
この男、本当におしゃべりだし、調子がよく、ひょうきんです。
しかも、顔もおかしい。
ヴィンセント・ギャロを、インド人にしたようで、
美男美女揃いの中では、 なかなかイイ味を出しています。

そのデュベイ。
母親から、結婚はどうするのかと、やいのやいの言われてるのですが、
独身暮らしの気楽さに、結婚など考えたこともありませんでした。
ところが、バルマ家のメイドとして働く、若い女性、アリスの 可憐な様子に一目惚れ。
あっけなく、恋に落ちます。
そして、それからのデュベイは、まったくしゃべらなくなり、
仕事もせずに、一人ひっそりと、夕焼けなんか眺めてしまう始末。
しかも、花を手に、ボーッとアリスを遠くから眺めてる姿なんて、
ブっさいくなノラ犬が、雨の中、呆然と立ちつくしているのにも似て、
思わず身を引いてしまうような、哀れささえ漂わせちゃうのです。
自分のことよりずっと好きで、魂を捧げたくなるような人が現れると、
人は何と情けなく、無防備で弱く、 無様な存在になってしまうのでしょう。

ここから先、デュベイとアリスは、ほとんど言葉を交わさず、
視線やしぐさだけで、恋心を育んでいきます。
そんなデュベイの、あまりに純情ウブな恋に、 時々笑いをこらえながらも、
グッと身を乗り出して、恋の行方を追ってしまいます。
そして、とうとう、デュベイの意を決したプロポーズ!
このシーン、その日一緒にみたお客さんたちと共に、大笑いしました。
だって、純情な心の差し出し方が、あまりにピュアで、素のまんまなんですもの。
でもだからこそ、わたしは笑いながら、うれしい涙をポロリとこぼしました。

そうです、忘れてました。
恋って、魔法の時間を生きることでしたよね。
この純粋でストレートな愛の形が、バルマ家をめぐる愛の物語の中で、
ひときわ光り輝く愛の本質として、 そっと見せてくれるところなんか、
なかなか奥が深く、 「この監督、やるなぁ〜」っと、うなってしまうところです。

ラストは、インドらしく、お約束の踊りと歌で、祝祭ムード満点です。
ちょうど厳しい夏の日差しを一掃する、モンスーンの季節。
時折強く降る雨が、過去の痛みや傷を洗い流すように、 どんどん降り注ぐ中、
"幸福は、自分で選びとるもの""家族は、自分で守るもの"、という、
どんな時代でも共通の、大切なことが、大きな喜びと共に伝わってきます。
この幸福感、どうぞ存分にひたって、酔いしれてください。

(英語サイトは、カーソルを動かすと、マリーゴールドがポンポン 飛び出るようになっていて、
幸せいっぱいな気分を味わえます。音楽もステキ!でも、映画をみてからの方が、もっとおすすめ!)

                                        −writing by 吉田 妃呂−

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