ウッディ・アレンの映画では、久々のロング・ヒットとなった作品です。
げげっ!ウッディ・アレンですってぇ?!
って、もう彼の名前を出しただけで、「見ない」って決めてる人、たくさんいるのよねぇ。
だって理屈っぽいし、 (ホントだけど、今回は違うよ)
インテリぶってるし、 (ぶってない、ホントにインテリなの)
何言ってるか分からないし、 (早口だし、NY弁って分からない!)
第一見た感じ、だっさいオヤジじゃん!
(実は、『Empire』誌が95年に発表した「映画史上もっともセクシーな100人」に選ばれている?!)
でもね、今回の作品を見逃すのは、ちょっともったいないのよ、子猫ちゃん。
だって、ストーリーは単純だし、コメディーだし、皮肉はぜんぜんないし、
かといって、観客の頭脳をみくびるような、おバカなつくりなんて絶対しないし、
それどころか、本物の−上質な笑い−を体験できますのよっ!
ストーリーは、こう。
ウッディ扮する、自称天才の落ちこぼれ泥棒が、銀行強盗を思いつきます。
まず、天才的に口の悪い愛妻をくどき落として、
銀行の近所にクッキー屋を開業させ、
その店の地下から、銀行まで、ガリガリ掘り進めようという計画です。
ところが、ダミーだったはずのクッキー屋が、思わぬ大繁盛!
お客さんは群れなしてくるし、テレビまで取材にくる始末。
貧乏のどん底にいた二人は、夢にまで見た大金を得るんだけど、
ハテ、これって本当に、夢の生活なのかしら・・・?
つづきは映画館で、楽しんでいただくとして、
わたしがウッディの作品を愛している理由を、一つだけお話するとね、
彼の映画に出演する俳優たちの、新しい一面に出会えるってことなの。
それは、今までのイメージを180度変えてしまうような変化じゃないけれど、
俳優たちの隠れた個性を、気持ちがいいほどクリアに引き出して、
見ているわたしたちに、一つ一つ新鮮な発見をさせてくれるんです。
何でも、ウッディは、出演者に、
それぞれが演じる場面のみの脚本しか渡さないとか。
それって、演じる者としては、エライ恐いことじゃない?
たぶん、名もあり実力もある、豪華な俳優ばかりだから、
ウッディによって引き出されるというよりは、
共同作業で役を作り出しているんだろうな、と想像しています。
だって、すべての出演者が、ウッディの作った人物と言葉を肉体化していく
作業を、
心から楽しんでるって、
ダイレクトに伝わってくるもの!
ものをつくる喜びを、スクリーンのこちら側でも、
共有できるのも、
映画の魔法のひとつです。
で、今回の収穫はね、ヒュー・グラント!
わたくし、俳優としての彼を、あまり好きじゃなかったの。
もちろん本当の彼がどんな人かなんて、知らないけれど、
ハンサムで、その上、人がいい男なんて、退屈で最低でしょ?ねぇ?
ところが今回、彼が演じるのは、鼻持ちならない画商です。
もう、これがうまいのなんのって!
いいお洋服着て、鼻にかかったイギリスなまりの英語をつかって、
金持ちのおばさま相手に、ワインや骨董品のうんちくを語り、
ティントレットの絵画について講釈たれる彼の、何と生き生きとした、エセ紳士ぶりっ!
ほれぼれしますわよ。
彼に、これだけ洗練されたコメディー・センスがあったなんて!
わたくし、スクリーンの前で、「今まで失礼いたしました」と、
深々と頭を垂れました。
みなさまも、ウッディの魔法をた〜んと召し上がって、
こころを笑いでいっぱいにしてくださいましね。
(オフィシャル・サイトでは、
映画だけでなく、ウッディのことからクッキーやワインのことまで、
様々なコーナーが、おいしく充実しております。)