みなさん、ちゃんと話についてきてますね?
妻が女と逃げた上、ガンで余命いくばくもないときた。
でもって、一人息子は、宿敵の娘に恋しちゃって、
ちょっとしたロミオとジュリエット。
さらに、全英選手権に再挑戦して、家族の絆を取り戻すだとぉ?
もう、話題てんこもり過ぎ!
これだけの話題がいっきに展開されると、普通ドタバタになるはずだけど、
全体がキュッと引き締まって見えるのは、脚本の力と俳優たちの勝利です。
(脚本は、男性ヌードで一発当てようとした男達の話『フル・モンティ』のサイモン・ボーフォイ。)
何より、監督、ヘアデザイナー他、すべてのスタッフの視線が、
死を目前にした、元妻の投げかける、暖かくて強い視線と一体となっているので、
少々ムリなストーリー展開にも、ふむふむと、妙に納得しながら
ついていけます。
母親であり、元妻であり、駆け落ちした女性の恋人でもある、一人の女には、
もう時間がない。
自分がしてきたことに、後悔はないけれど、バラバラになった家族のことだけが心配。
そんな彼女に、今できることは、たった一つ。
調子のいい話しではあるけれど、彼らが自分を通して、
新しい家族をつくりなおすこと。
自分と、元夫と、息子と、今の恋人と。
風変わりだけど、互いを必要とする家族になれるかもしれない。
そうしたら、安心して、その輪から抜けていくことができる。
家族であることは、人生の諸問題の種でもあるけれど、
自分が、この世に生まれて、誰かとつながっているという実感を
いちばん感じさせてくれる人達でもある、ということ。
それが生きていくために、どれだけ力になるか、
死が確実に近づいている彼女には、よ〜く分かっている。
だから、どうしても伝えたい。私たち4人は、もう一度、心のつながりを持てるのだと。
心のよりどころがちゃんとあれば、後はみんな一人で生きていけるから。
葬儀場で死体相手のカットの練習や、羊相手のヘア・ダイ、
コンテストでのバカバカしいまでの斬新なヘア・スタイル、
上の毛だけでなく、下の毛までセットしちゃう、ちょっとした
ギャグも満載。
コンテストのはちゃめちゃぶりも、自分を飾ることの情熱も、
すべてがお祭りみたいに生き生きしててステキ。
深刻なストーリー展開だったはずなのに、もう、手放しで笑えます。
そして、あっと驚くラストのヘア・スタイルは、
ぜひあなたの目で楽しんで!